
「グリーンICT」(ICT:情報通信技術)の推進は、地球と人類への貢献と責任であり、その実現には、地球全体を覆うセンサネットワークの構築とそれらの協調動作が必須となります。地球上で展開される社会・産業活動とその活動を支えるインフラは、エコシステムを形成しており、適切なエコシステムの構築が地球と人類の継続的発展と繁栄を実現することになります。このインフラは、自律性/自立性とともに交流性(相互接続性)が、その存続と発展のための必須条件であり、すなわち、適度なオープン性が持続的発展の鍵となります。オープン性の実現には、システムを構成するコンポーネント間でのインターフェースの共通化(=標準化)が必要となります。
先進国での都市活動の変化とアジアを中心とした人口集中地域での都市化の進展は、地球上での気象変化をよりいっそう複雑化しており、今後の経済・社会活動に対して多くの変革(Innovation)を要請しています。こうしたなか、デジタルネットワークへの接続性を高めた各種のセンサユニットが開発され、環境情報観測や分析のツールとして活用されつつあります。また、ブロードバンドインターネット環境の整備とユビキタスネットワーク環境の構築が進むなかで、これらセンサ機器がインターネットに接続できるようになり、自立的で自律的な環境情報の共有と加工を実現する環境の構築を推進できるようになりつつあります。更に、これらの環境情報をグローバルスケールで、しかも、ほぼリアルタイムに流通、加工、共有、そして制御する環境、すなわち、グローバルスケールでの環境問題に関するPDCA(Plan、Do、Check、Act)サイクルを実現するシステムが構築できるようになりつつあります。 各種のセンサデバイスは、ほかのセンサデバイスと組み合わせることで、高度な機能の実現や新しい利用法の創造などが推進されると思われます。 人間に例えれば、ICT(情報通信技術)機器群は“脳”にあたり、ネットワークは“神経系”に対応します。“賢く能率的な脳”と“俊敏に動作する神経”が、人間の効率的で機能的な創造的活動を実現します。“優れた筋肉を持った運動選手”でも、その制御が最適化されていかなければ、“優れた筋肉を持たない運動選手”に負けてしまいます。わが国の国際競争力と地球全体の未来は、ICTを用いたファシリティシステムの研究開発とその有機的な展開に依存していると考えなければならないでしょう。
東京大学では2008年から本郷キャンパスを実証実験場とし、ICTを活用したファシリティのグリーン化に関する研究開発と実証試験を推進する産学連携コンソーシアムである「グリーン東大工学部プロジェクト」を設立、30社を超える民間企業の参加を得て精力的な研究開発活動を展開してきました。 ファシリティシステムは、要素、システム、運用という真の総合技術力が問われる領域であり、常に革新的な最先端技術の導入を視野に入れた研究開発が必要となります。
「グリーン東大工学部プロジェクト」の活動は、実証試験フィールドでの成果の公共施設等への展開、新たなビジネス領域の創造、省エネのための個別技術の統合化と完全性確立、さらに、システムの持続的な発展を実現するために必要となる国内外の技術標準化機関への提案活動など、新たな段階に入りつつありました。「グリーン東大工学部プロジェクト」の活動期間は、2年としており、平成22年度からの活動に関しては、2年間の活動の統括と環境をもとに参加メンバーで判断するというお約束にしておりました。その結果、活動は、継続・拡大すべきとの結論になり、松本副学長ならびに東京大学 産学連携本部の皆様方との議論とご高配の結果、全学レベルのコンソーシアムとして、継続的発展を目指す体制とすることになりました。
本年度(2010年度)以降は、引き続き、現在の参加組織と、新規に参画する組織によって、産学連携コンソーシアムを構成し、テストベッドを用いた先端技術の研究開発と統合環境での実践的運用を通じた技術の評価と運用技術の確立を推進するとともに、国内外での技術の標準化活動を展開します。また、工学部2号館を用いたテストベッドの運用においては、本学工学部の施設部および財務部との連携も行い、実務に直結した運用技術の確立も行うことを目指します。
参加組織の多くは企業であり、事業としての採算と利益構造が確立されなければ、我々の志は社会に受け入れられ普及することがありません。 二宮尊徳氏の言葉とされる、経済性と理念・道徳の両立も、本コンソーシアムの目指す活動指針として共有されています。
『道徳を忘れた経済は罪悪、経済を忘れた道徳は寝言だ』(二宮尊徳氏)改めまして、「グリーン東大工学部プロジェクト」の創設と運営にご支援・ご尽力・ご鞭撻をいただきました皆様方への感謝と尊敬の意を表させていただきますとともに、これから参画される皆様方と、これまでのメンバーの方々の力とが、融合し、さらに大きな成果をあげ、地球と社会そして未来に貢献するコンソーシアム活動へと発展することを目指したいと考えております。
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