東京大学グリーンICTプロジェクト

ieeeIEEE1888

システム概要

1 システム・アーキテクチャ

2 中小規模施設をつなぐ通信インフラの形態

3 家庭をつなぐ通信インフラの形態

1 システム・アーキテクチャ

図1に示すように、IEEE1888で構築されるシステムは、ゲートウェイ、ストレージ、アプリケーションと呼ばれる機能部品で構成され、これら部品間はHTTPベースの通信で情報が交換される。IEEE1888はこの通信の手順やフォーマットを規定したものである。なお、ここで、それぞれの機能部品は次のような役割を果たす。

図1 IEEE1888で構築されるシステムのアーキテクチャ

・ゲートウェイ:
他のシステム(既存技術により構築された設備や機器でセンサやアクチュエータが搭載されている)に接続し、取得したデータをIEEE1888で扱えるようにしたり、IEEE1888で送られてきたコマンドを発行したりする。ゲートウェイは、必ずTCP/IPネットワークに接続され、IEEE1888の通信インタフェースを提供する。接続の対象となるシステムには、各ベンダーが独自に規定している通信バスや、既存のローカル通信バス(例: Lonworks, BACnet, ZigBee, RS485, 1-Wire, PLCなど)も含まれる。

・ストレージ:
IEEE1888フォーマットで表現されたデータを長期間に渡って蓄積する。例えば、電力消費量の推移、人感センサの検知イベント、空調の温度設定、部屋の温度などを数ヵ月、数年間にわたって蓄積し、様々なアプリケーションとのデータ共有プラットフォームとして使われる。データ分析などの計算処理は、何らかのアプリケーションと連携させることによって、達成される。

・アプリケーション:
ストレージからデータを読出し、パソコン画面、プリンタ、メール配送システムに利用させるなど、運用管理者とのインタフェースとなることができる。ゲートウェイに対してコマンドを発行するのもアプリケーションである。また、データ分析を行うアプリケーションは、ストレージからデータを読み出した後、何らかの分析処理(差分計算、平均値計算、特殊な分析)を行い、再びストレージに書き込むといった動作をする。

このように、IEEE1888は、データの蓄積を中心に据えたアーキテクチャを採用している。この構造により、従来は困難であったBEMSやHEMSのマルチベンダー化が可能になる。

2 中小規模施設をつなぐ通信インフラの形態

ここでは、IEEE1888アーキテクチャを中小規模施設の設備・エネルギー管理に適用した場合に、どのようなインフラが構築されるのかを示す(図2)。

図2 中小規模施設をつなぐIEEE1888のインフラ

 

施設側のネットワーク


・施設A:
すでに何らかのフィールドバスが導入されていて、空調・照明・電力メータ・環境センサなどが一つのシステムに結合されている施設である。この情報を取り出してインターネット上にある豊富なエネルギー管理サービスを受けるために、IEEE1888との通信GWを導入して、インターネットに接続する。

・施設B:
空調・照明・電力メータなどが独立したシステムとして導入されている施設である。これらの情報をインターネットに取り込んで豊富なエネルギー管理サービスを受けるため、それぞれの機器をIEEE1888との通信GWによってオンライン化している。なおこの施設では、施設内にデータを蓄積すると共に、施設内に設置されたアプリケーション(例えば、見える化サーバ)も活用している。

 

サービス事業者


オンライン化されたシステムと連携することによって、様々なサービスを生み出せる。そしてサービスの内容によって事業形態が異なる。以下にあげるのは、それぞれの事業形態の一例である。

・見える化専門事業者:
契約した施設からオンラインになったデータを、上手に分析し見せることによって、節電に対するアドバイスを行う事業者。電力消費がそもそも小さな施設であれば、ソフトウェアによる自動アドバイスのサービスを提供する。消費電力がもう少し大きな施設であれば、その現場にあった見える化方法のカスタマイズも引き受ける。

・制御ロジック専門事業者:
契約した施設の設備にIEEE1888によって接続し、空調や照明などの電力負荷に対する制御を行う事業者。夏場のような電力逼迫時にデマンド制御を行ったり、それ以外の時でも無駄に点灯している照明機器を消灯したりすることで、上手なエネルギー管理を行う。この方式は、見える化だけでは節電が達成しにくい場面(例えば、学校施設や、小売りチェーン店)で効果を発揮する。

・データ蓄積・基礎分析専門事業者:
契約した施設からオンラインになったデータを長期間に渡って蓄積するサービスを提供する事業者。場合によっては、収集されたデータに基礎的な信号分析処理を適用し、取扱いが便利なデータに加工することもある。他の事業者から参照されることも可能で(もちろん事前に契約する)、例えば、見える化専門事業者が、見える化のための元になるデータをこの事業者にIEEE1888でもらうこともできる。

・大手総合管理事業者:
上記の各専門事業者の機能を一手に引き受ける事業者である。データ蓄積・基礎分析、見える化、制御のすべてを行うことができるが、実際の契約形態としては、「見える化のみ」や「制御のみ」といった形態もありえる。

3 家庭をつなぐ通信インフラの形態

ここでは、IEEE1888アーキテクチャを家庭の設備・エネルギー管理に適用した場合に、どのようなインフラが構築されるのかを示す(図3)。

図3 家庭をつなぐIEEE1888のインフラ

家庭側のネットワーク


・家庭A:
電力メータ、太陽電池、エアコン、テレビ、IT調理器、冷蔵庫が何らかの家庭内ネットワークにより接続されていて、各機器の電力消費量や太陽電池の発電量等を取得できるとする。インターネット上にあるエネルギー管理サービスを受けるためにIEEE1888の通信GWを導入してある。

・家庭B:
電力メータや太陽電池のキットや、エアコンをそれぞれオンライン化し、エネルギー管理サービスを受けるために、IEEE1888の通信GWを導入してある。この家庭では、データの管理や分析表示処理は、ローカルでも行っている。

・家庭C:
節電を行うに際し、電力メータを設置し、豊富なエネルギー管理サービスを受けるために、IEEE1888の通信GWでネットワークオンライン化している。

サービス事業者


・家庭向け事業者:
各家庭と契約を結び、エネルギーの見える化や、効率運用へのアドバイスを行う。場合によっては、深夜電力を有効に活用するような制御をかけることもある。