東京大学グリーンICTプロジェクト

ieeeIEEE1888

関連技術

1 フィールドバス関連の技術

フィールドバスは、1990年代に様々な規格の開発が進んだセンサ・アクチュエータ・ネットワークの専用線で、中には数kmに渡る数千点の端末を接続することができるものもある。建物内の設備や、航空機の座席管理などに使われている。IEEE1888では、このフィールドバスは、GW配下のサブシステムとして位置づけている。以下、具体例を挙げる。

 

・Lonworks:

Local Operating Networks。米国エシェロン(Echelon)社によって開発されたLonTalkプロトコルを基に開発されたネットワークシステム。LonTalkプロトコル(OSI7階層プロトコルに準拠)で端末同士の相互通信が可能となる。

・BACnet:

Building Automation and Control Networking protocol、ビルオートメーション用データ通信プロトコル。ANSI/ASHRAEによって標準化されたファッシリティネットワークの技術仕様

・RS485:

RS-422Aの接続台数(10台)をさらに多く接続できるよう拡張された規格。接続台数32 台。伝送速度10Mbps、最大伝送距離1200m

・RS232C:

パソコンなどに標準搭載されるなど、広く使用されている1対1シリアル通信規格。単独のセンサには、RS232Cを読出しインタフェースとして搭載しているものも多い。接続台数1台。伝送速度20kbps/最大伝送距離15m

・1-Wire:

1ワイヤ・バス・システム。ダラスセミコンダクタ(Dallas Semiconductor)社(現、マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ)が開発した、1本の信号線(ただし接地線が必要)を使って通信および電力送信(1ワイアに5Vの直流を重畳して給電)の両方を実現する規格であるところから、「1-Wire」と呼ばれている。

・I2C:

Inter-Integrated Circuit(Inter IC)。NXPセミコンダクターズ(旧、Philipsセミコンダクターズ)が開発した、IC間を高速にシリアルに通信する方式。データ信号用とクロック信号用の2線(2Wire)使用し、ファーストモード400kbps、ハイスピードモードで3.4Mbps通信が可能。

2 無線センサネットワークの技術

センサネットワーク用の無線技術は、2000年代に開発が進み、半径10m~50m程度の領域をカバーすることができるようになってきている。ケーブルレスで、設置コストを小さく抑えられるという利点があり、グリーンICTの普及に不可欠な存在である。一方で、無線媒体には未だ通信に関する課題が多く(例えば、遅延、スループット、信頼性、双方向性などの問題)、IEEE1888は無線技術とは直接的には関わらないことにしている。したがって、無線デバイスからのデータをIEEE1888で扱う場合には、無線ネットワークをフィールドバスと考え、GWで集約する方式を取る。

 

・ZigBee:

近距離無線通信ネットワークの標準規格のひとつ。ZigBeeアライアンスが策定。無線センサネットワークの規格であり、センサ情報の収集や連携制御などができるフィールドバスの一種。2.4GHz帯(世界共通)の他、日本:950MHz帯、米国:915MHz帯、欧州:868MHz帯を使用可。最大伝送速度 250kbps、通信距離 75m。ZigBee標準は、下位層の物理層/MAC層にIEEE 802.15.4 規格を採用し、上位層のネットワーク層からアプリケーション層まで体系だったZigBeeプロトコルで構成されている。

・Bluetooth:

IEEE802.15.1標準規格に基づく近距離無線技術。Bluetooth SIG(Special Interest Group)が策定。2.4GHz帯でFHSS(周波数ホッピング方式)を採用しノイズに強い技術で、Bluetooth SIGでBluetooth規格の策定や認証が行われている。用途に応じていろいろなバージョンがある。

・Z-Wave:

Zensys(ゼンシス。1999年、デンマークに設立)とZ-Waveアライアンスとが開発した相互運用性を持つ近距離無線技術のひとつ。800~900MHz帯を使用し、最大伝送速度40kbps、最大通信距離30mを実現。日本では、2012年を目標に920MHz帯が割り当てられる予定(2011年7月現在、割り当てられている周波数はない)。

3 インターネット関連の技術

2000年代から、インターネットを利用して、遠隔地にあるセンサのデータを収集したり、アクチュエータを制御したりするために、インターネットが使われるようになってきている。

 

・SNMP:

ネットワーク機器やサーバ機器の状態を管理するために構築された規格であり、本来は主に、ネットワークトラフィック量、サーバのCPUやディスクの使用率などの収集に使われるが、サーバ環境を管理するためにSNMP対応の温湿度センサなども存在する。インターネットからの状態の取得や設定などは可能であるが、履歴の読出しなどには対応していない。IEEE1888のGWに近い役割を果たし、IEEE1888との連携が可能である。

・oBIX:

Open Building Information eXchangeの略で、空調や照明などの現在の状態をインターネットからアクセスできるようにする。IEEE1888のGWに近い役割を果たし、IEEE1888との連携が可能である。

・BACnet Web Services (BACnet/WS):

BACnet/WSも、空調や照明などの現在の状態をインターネットからアクセスできるようにする。IEEE1888のGWに近い役割を果たし、IEEE1888との連携が可能である。